運動って本当に効果あるの?
タイトルのように思っている方もいるかもしれません。
生活習慣病や高齢の患者様には、ほぼ毎回、運動しましょう、歩きましょうと話しています。
毎回、聞いているけど、ちょっとうるさいな、本当?と思う方がいても無理はないとは思います。
運動にも色々あると思いますが、はっきり「効果はあります」とお伝えしたいと思います。
自分が今まで運動してきた経験により実感していること、世界の様々な研究結果から考えると適度な運動の効果に異論を唱える余地はないと思います。
日本人約7万人を10年間追跡した研究によると、毎日30分歩く人と1時間以上歩く人を比較した場合、1時間以上歩く人は、脳の血管が詰まる脳梗塞で死亡するリスクが3割近く減少し、心筋梗塞を含む心血管疾患で死亡するリスクは2割近く減少するという結果が出ています。運動といっても長めに歩くだけでも効果があり、特に心臓と血管に良いことがわかっています。
心臓・血管への運動の健康効果は複数あり、一つは「血管の拡張・血圧の低下」です。
中強度の運動をすると、心拍数が増えて血流が増加し、血液と血管の摩擦が増え、血管の内膜から一酸化窒素が分泌されます。一酸化窒素が血管の平滑筋に作用すると、筋肉がゆるんで血管が広がり血圧が下がるため心臓への負担が減ります。
これまでの研究で、習慣的に運動を行うと上の血圧が5mmHg前後下がることがわかっています。
また、運動をすると、運動した後に自律神経の交感神経の緊張が低下し、副交感神経が働くことによってリラックスできる状態になります。すると血液を固める血小板の働きが抑えられ、血液が固まりにくく血栓ができにくくなり、脳梗塞や心筋梗塞の予防になります。
運動をすると、善玉のHDLコレステロールが血液中に増え、血管の壁にたまった悪玉コレステロールを回収するという効果もあるようです。
では、どのくらい運動すればよいでしょうか。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」によると、18歳から64歳の人は、中強度以上の身体活動を1日1時間、そのうち、汗をかくような運動を週に1時間行うことが推奨されています。65歳以上の人は、強度を問わず、1日40分の身体活動を行うことが推奨されています。いずれにしても、無理なく少しずつ行うことが重要です。
来月には梅雨になりますが、雨が降っていない時は外を歩き、雨の日は家でもできる運動でもよいので、ある程度の時間、毎日運動しましょう。
なお、6月から厚生労働省主導による診療報酬改定があり、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症)の患者様の特定疾患療養管理料が廃止され、生活習慣病管理料を算定させていただくこととなります。
当院では検査費用が包括されない生活習慣病管理料Ⅱを算定する予定のため、患者様の負担が増えることはありません。
ただ、療養計画書という書類を作成・交付しなければならなくなるため、特に初回は今までよりお時間、お手数がかかることとなりますが、ご理解いただけましたら幸いです。