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「脳神経内科」って何ですか?結構レアな診療科です

[2025.02.01]

未だにあまり知られていないと思われる「脳神経内科」についてより知っていただきたく、ご紹介させていただきます。概要については以前の記事(2022.10.19など)をご参照いただけたら幸いです。

「脳神経内科」は数年前までは「神経内科」と言われていました。
診療科として「神経内科」の標榜が認可されたのは1975年とかなり昔のことです。
しかし、依然として心療内科や精神科と混同されることがある一方、脳卒中や認知症、パーキンソン病などの多くの患者さんがいる病気を専門的に診療する科であることが広く知られていない状況が続いていました。
そのことにより、神経内科を受診してほしい患者さんが神経内科受診を思いつかずに、診断がつかない状態が何年も続いたり、適切な治療のタイミングを逃したりすることがありました。
そのため、日本神経学会は2017年に標榜診療科名を「神経内科」から「脳神経内科」に変更しました。
名称変更により、理解が深まったのかどうかは分かりませんが、脳の病気を扱う診療科だということを少しは認識していただけたらと期待しています。

次に、最近の「脳神経内科」の状況について、ご紹介したいと思います。

脳神経内科の学会である日本神経学会の会員数は2024年春にやっと1万人を超えたところです。その中でも学会認定の神経内科専門医数は2012年時点で5,014名です。
同じ年の消化器病専門医は17,679名、循環器専門医12,472名に比べると1/2~1/3であり、患者さんの数も違うとは思いますが、比較的少ないと思いませんか?

その理由としてはあくまで個人的な印象ですが、医師が自分の専門を選ぶ際に、内科の各領域の中でも神経内科は難しいと思われており(実際に神経内科専門医試験はかなり難しく自分もよく合格したものだと思います)、一方で消化器内科の内視鏡治療や循環器内科の心臓カテーテル治療に相当するような手技的な治療が比較的少ないことから医師の中で志望者が少ないのではないかと推察されます。

しかし、そのような手技的な治療を行うことができない地域のクリニックでは、脳神経内科の存在意義がより大きいのではないかと思います。

以前にも書きましたが、脳神経内科では診察を重視します。
病状によっては比較的診察時間が短く、詳しく診察していないように感じるかもしれませんが、診察は患者さんが診察室に入ってきた時点から始まっています。
表情・話し方・歩き方・身体全体の動きなど、いわゆる視診だけでも多くの情報を得ることができます。詳細な診察には時間がかかりますが、さらに問診、神経学的診察と行っていく上で、さらに多くの情報が得られます。
神経変性疾患が疑われる患者さんには、時間をかけて神経学的検査を行います。
他の診療科でもある程度の診察は行うと思いますが、大人の患者さんの専門的な神経学的検査はほとんど脳神経内科で行われます。
診察だけでは分からないこともあるので頭部CT検査も行いますが、診察を重視するという脳神経内科の特徴は、クリニックでより発揮できるのではと思っております。

なお、さいたま市でも神経内科専門医は少なく、日本神経学会の名簿では、2025年2月1日現在、南区で私を含めて4名、浦和区でも5名のみです。その中で、開業医はさらに少なくなります。
さいたま市や浦和周辺の人口(2025.1.1現在 さいたま市人口:約135万人、浦和区・南区・緑区:約50万人)を考えると、結構レアな存在ではないでしょうか。

診察に時間がかかるので1日に診ることのできる人数も限られており(そのため診療報酬も比較的少ないです)予約が取りづらい日もありますが、今のところ当日予約が全て埋まっている日は少なく、個別の要因もあるでしょうが脳神経内科があまり知られていないことも一つの原因ではないかと思います。

「脳神経内科」について少しでもご理解いただき、頭痛・めまい・認知症などで困っているより多くの方のお力になりたいと思っておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

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