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風邪の時に病院に行くべきか?

[2024.12.27]

インフルエンザが大流行しており、コロナウイルスも同時に流行しています。
医療機関には連日、風邪の人が大勢来られます。

しかし、風邪の時にすぐ病院に行くべきでしょうか?
とりあえず病院で診てもらった方が安心というのも分かりますが、年末年始となり多くの開業医・クリニックは休診となる中で、風邪の人が救急病院に殺到したら本当に救急医療が必要な方が病院に受診できなくなってしまいます。

最近は、発熱や風邪症状で病院に行けば、まずはインフルエンザやコロナウイルスの抗原検査をすることが多いと思います。
病院・クリニックでは、来られた方が希望するため、しないと納得しないから検査しているという面も大きいです。

治療は、インフルエンザ陽性ならタミフル・イナビル・ゾフルーザなどの抗ウイルス薬を処方しますが、コロナウイルス陽性やどちらも陰性なら咳止め・解熱薬など対症療法のことが多いと思います。
インフルエンザの薬は市販薬にはなく、病院で処方してもらわないといけないので病院に行かなければと思っている人も多いのかもしれません。

しかし、インフルエンザの薬についても、よく知らない人が多いようです。
実は、世界でインフルエンザの薬を広く処方しているのは日本くらいであり、あるデータでは、日本はタミフルの世界消費量の約75%を占めているとのことで、他の国に比べて圧倒的に多く抗インフルエンザ薬が処方されているようです。

なぜでしょうか?
それは、本来投与しなくても元気になる可能性が高い人たちに対しても薬が処方されているからです。
他の国では、タミフルを多く使用することでインフルエンザが耐性を獲得し、タミフルが効かなくなってしまうことを懸念して、必要最低限の使用にとどめています。
治療対象となるのは65歳以上の高齢者、気管支喘息、糖尿病、慢性の心臓病などリスクの人などであり、現在の新型コロナウイルスの薬の適応と同様です。
外国では健康保険など金銭的な問題もありますが、日本は国民皆保険なので、病院で薬を処方してもらえばそれほど高くないため希望することが多いと思います。
新型コロナウイルスの薬については、効果の面もありますが、公費でなくなり健康保険を使っても高額となるので処方されなくなっているのだと思います。

確かに、インフルエンザの薬は早めに飲めば症状がある日数を1日程度短縮する効果はあるといわれており希望されるので処方しますが、飲まなくても多くの方はその他の風邪と同じように徐々に改善します。

インフルエンザの薬以外では、その他の風邪やコロナウイルスでも、基本的に咳止め、去痰薬、のどの薬、解熱薬、漢方薬などは処方されますが、いずれも最近は市販薬でもほぼ同じ薬があり、病院で処方する薬と同じ内容・同じ分量の薬も多く販売されています。
元々持病がなく健康な若い人、65歳以下の人などの多くは市販薬でも特に問題ないと考えられます。

風邪の場合、長期には処方しないので、「薬がなくなったらどうしたらいいですか、また病院に来たらいいですか」という方にそのように説明したら「市販薬は高いので」と言われて驚きました。
それも分からなくはないのですが、病院は薬を安く買える場所、ということではないと思います。

また、最近風邪の人が多いので一人ひとりを隔離するのは難しく、待合室に多くのインフルエンザやコロナウイルス感染者がいます。
しんどい時に風邪で病院に行き、長時間待ってインフルエンザに感染したという笑えない話もあるでしょう。
医療関係者は感染するのが嫌なので、風邪をひいても病院には行かず、薬を飲まないという人も多いです。
それが現実です。

以上のようなことを書くと、誰でも病院に行ってはいけないのか!と興奮する人もいるかもしれません。
しかし、そうではありません。
物事はどのようなことでも色々なバランスを考えて行動する必要があります。
基礎疾患のある方や高齢者は抗ウイルス薬や細菌に対する抗生剤が有効なことがあるので、受診をためらわずに受診してほしいと思います。

さらに苦言を呈するなら、最近マスクをしていない人が多すぎだと思います。
あの苦しかった新型コロナで緊急事態宣言が出ていた時期のことを多くの人は忘れてしまったのでしょうか。
感染予防には、うがい・手洗い・マスクの着用・できるだけ人込みを避けること、それは普遍的なことだと思います。

受診すべき方が受診できるように、適切な行動をとれるように、少しでも多くの方にご理解ご協力いただけるよう、心から願っています。

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