メニュー

認知症やパーキンソン病などに応用される可能性のある再生医療とは

[2023.01.12]

最近のテレビ番組で間葉系幹細胞やエクソソームによる治療のことが紹介されていました。

当院でも多い認知症やパーキンソン病などの治療にも効果がある可能性があり、多くの方に実際に使用できるようになれば、画期的な治療になると思われます。

間葉系幹細胞は、再生医療に用いられており、さまざまな臓器・組織に分化できる細胞で、多くは患者さん本人の細胞を培養して利用されます。
皮膚や脂肪、骨髄などあらゆる場所に存在していますが、採取の難易度、身体への負担、用途、効果などを加味し、どこから採取するか決められます。
採取した幹細胞を点滴したり、シート状にして貼り付けたり、関節に注入したりして治療します。

再生医療と聞くと山中教授の「iPS細胞」という言葉を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実用化には至っておらず、現在、再生医療に用いられているのは、人工的に作りだす「iPS細胞」ではなく、ヒトの身体から採取した「幹細胞」を培養して増やしたものです。
多くは患者さん自身の細胞を用いるため、拒絶反応などの副作用も少ないとされています。

数年前に学会で、脊髄損傷や脳梗塞の人が、間葉系幹細胞による治療を受け、劇的に改善している動画を見て衝撃を受けました。
これが実用化され、普及することになれば、多くの人が救われることになると、すごく期待を抱きました。

ただ、そのような治療は現在のところ、非常に高額となり、治療できる医療機関も限られ、発症早期でなければならないなど条件も厳しいため、その治療の恩恵を受けられる方は非常に少なくなっています。
新型コロナウイルス感染症の治療薬もやや高額ですが、希少な病気に有効な薬が最初に使用される場合は数百万、数千万円と非常に高額になるので、国の財政的な問題もあると思います。
しかし、脊髄損傷などには保険適応となっており、個人としては、高額療養費制度も使えるため、そのような治療があるということを知っておく必要はあると思います。

一方、間葉系幹細胞から分泌されるエクソソームという細胞間の情報伝達の役割を担っている物質は、様々な疾患への治療効果があり、組織の障害における修復補助の役割を果たしていると考えられています。
自分の身体から採取せず、非自己由来の組織からとったエクソソームを使った場合には、負担は少ないですが免疫反応が起きる可能性はもちろんゼロではありません。
ただ、細胞そのものを使うわけではないため、比較的安全に利用できると考えられています。

現在のところ、エクソソームによる治療は、皮膚などの美容関係や薄毛治療などに自費診療として用いられているようですが、今後、多くの分野で用いられることが期待されます。

そのような新しい治療を、認知症やパーキンソン病などの多くの方が利用できるようになるまでには、まだ時間がかかることと思いますが、少しでも早く実用化されればよいと心から願っています。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME