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アルツハイマー型認知症の新薬「レカネマブ」とは?①

[2023.01.22]

先日、アルツハイマー型認知症の新薬について、大きく報道されていました。
日本とアメリカの製薬会社が共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」が米FDAによって迅速承認されたとのことです。
日本国内でも1/16新薬承認申請が行われたようです。

認知症の方やそのご家族は、わらにでもすがる思いで、新薬について期待されていることと思いますが、実際に「レカネマブ」とはどのような薬なのでしょうか。

近年、アルツハイマー病研究の有力な仮説となっているのが、「脳内で生成されたタンパク質が分解された『アミロイドβ』の長年に渡る蓄積が脳細胞を死滅させ、アルツハイマー病を引き起こす」というものです。
レカネマブは、このアミロイドβ仮説に基づいて開発された抗体薬です。

「アミロイドβ」は、脳の中で10年以上の時間をかけて、1つ1つの粒のようなものが徐々に集まりながら、繊維状の固まりになって蓄積していきます。
これまで開発されてきた多くの薬は、繊維状の固まりになった「アミロイドβ」を取り除くよう設計されていましたが、「レカネマブ」は繊維状になる前の「プロトフィブリル」という段階で結合するように作られています。

早期のアルツハイマー病(軽度認知障害:MCIと軽度のアルツハイマー病)の1795人を対象とした18カ月間の試験では、レカネマブを投与された人はCDR-SB(認知症の重症度を評価する18段階の基準)の変化度で偽薬を投与された人と比較して27%の悪化抑制効果を示し、さらに、全ての重要な副次評価項目でも有意な結果を出していたとのことです。

主要評価項目と副次評価項目の両方で有意な結果を出したのは、アルツハイマー病薬では初めてのことで快挙のようです。
1年半で、約4分の1ということは、4.5か月分ほど進行を抑制するということになるでしょうか。
それが多くの人に実際に使用できるようになれば、確かに、すごいことかもしれません。

(次回、その薬の課題についてご説明します)

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