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起立性調節障害と頭痛について

[2023.12.02]

本日、横浜で行われた頭痛学会総会に参加してきました。
先週に引き続き診療はお休みさせていただき、大変申し訳ございませんでした。

ただ、非常に有意義な時間だったと思います。
頭痛学会は脳神経内科医だけでなく、小児科や精神科、脳外科の先生方も所属しており、朝から夜まで様々な講演があり、普段、疑問に感じていた内容を学ぶことができました。

その中で、起立性調節障害についてのシンポジウムもありました。
起立性調節障害とは、小児・思春期における自律神経の不調により起こる病気であり、起きられない、睡眠障害、頭痛、倦怠感などの症状があります。

起立性調節障害は、起立してからの血圧や脈拍を連続して測定する起立試験やティルト試験を行うことにより、起立直後性低血圧、体位性頻脈症候群、血管迷走神経性失神などに分類されます。
心理的、社会的な要因が様々な程度で関与するため心身症に分類されますが、精神的な面だけでなく、身体的な疾患とも考えられます。

治療は、まず薬というわけではなく、睡眠不足の改善、有酸素運動など、非薬物療法が重要となります。また、親が心配しすぎることなく、本人が病気について理解することも必要です。

日本人は、どの年代でも世界的に睡眠不足であり、本来、思春期でも最低8時間程度の睡眠は必要とされています。
実際にはそれほどは無理と言われるかもしれませんが、できるだけスマホなどを見る時間を短くして睡眠時間を長めにすると症状が改善することがあります。



睡眠相後退症候群と言い、早い時刻には眠れず、深夜から朝方に眠りにつき、朝は希望する時間には起きられず昼頃に起床するという症候群がありますが、特に思春期に起こりやすいです。
これは、睡眠時間帯がずれているだけで睡眠中は全く正常なパターンで眠っています。
夜更かしの生活を続けたことが睡眠リズムを崩すきっかけとなりますが、一旦遅れた時間帯から戻れなくなる体質が原因のようです。
目覚めた後も全身がだるい、吐き気、めまい、食欲不振、胸がドキドキするなどの症状がよく出ることがあり、一日中調子がよくありません。
ただ夕方から夜にかけては一日のなかでは体調も気分もよくなることが多いです。

親御さんは、薬で早期に良くしてほしいという方が多いですが、実際には、治療に時間がかかることも多く、1-2年など必要な場合もあるため、そのことを最初にご理解いただく必要があります。

基本的に非薬物療法で改善しない場合に薬物療法を行いますが、実際には最初から薬を処方することもあります。
頭痛にはロメリジン(ミグシス)、アミトリプチリン(トリプタノール)など、睡眠障害にはラメルテオン(ロゼレム)(小児はメラトニン)、起立性低血圧にはミドドリン(メトリジン)などを用いますが、すぐに効果がでないことも多いです。

治療は難しいこともありますが、少しでもお役に立てることがあれば、と思っています。
ただ、心理的、社会的要因が強い場合は、臨床心理士やメンタルヘルスの専門家による治療が必要です。

起立性調節障害やそれに伴う頭痛について、少しでもご理解いただけたら幸いです。

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