片頭痛の新しい飲み薬が発売されます!①
今、頭痛の治療を行っている医療機関で話題となっているのが、新しい片頭痛の治療薬についてです。
片頭痛の治療薬には、急性期治療薬(痛い時に飲む薬)、予防薬(普段から毎日飲んで片頭痛の回数を減らす薬)があります。
今まで、急性期治療薬には、軽度~中等度では、アセトアミノフェン、NSAIDs、中等度~重度では、トリプタン製剤が使われていました。
予防薬としては、カルシウム拮抗薬(ミグシス:ロメリジンなど)、抗てんかん薬(バルプロ酸など)、β遮断薬(インデラル:プロプラノロールなど)、抗うつ薬(トリプタノールなど)、漢方薬(呉茱萸湯など)などがあり、2021年には新たな予防薬として、以前にもご紹介した月1回などの注射薬であるCGRP関連抗体薬(アジョビ、エムガルディなど)も登場しました。
このたび、新たに使用できるようになるのは、急性期治療薬である、レイボー(ラスミジタン)という薬です。
少し難しい話になりますが、レイボーは末梢および中枢のセロトニン5-HT1F受容体作動薬です。
末梢の三叉神経終末にはセロトニン5-HT1F受容体が存在していて、これが刺激されることで痛みの原因となるCGRPの分泌が抑制されることが知られています。
レイボーは三叉神経終末のセロトニン5-HT1F受容体を刺激することでCGRPの分泌を抑制し、血管の過度な拡張や炎症・痛みを抑える薬です。
また、中枢の同受容体に作用することで痛みのシグナル伝達を抑制するとも考えられています。
トリプタン製剤は三叉神経終末5-HT1D受容体と血管内皮細胞5-HT1B受容体の作動薬です。レイボーは今までのトリプタン製剤とは異なる、新たな画期的な薬と言えるかもしれません。
レイボーは5-HT1B受容体への作用がほぼ無いため、血管収縮に影響を与えないといった特徴があります。
つまり、狭心症や心筋梗塞、脳血管障害、頸動脈狭窄、末梢血管障害などの血栓症、著明な高血圧など、様々な病気を持つ片頭痛の方に、比較的安全に使用できるということです。
(次回に続きます)