少しでも健康でいたい方は禁煙して下さい ②
タイトルを少し変えましたが、前回の続きです。
酒もタバコも好きなようにして、ぽっくりいけばいいよ、と言う方もいますが、残念ながら、すっとあの世に行ける方は多くはありません。
私の専門は脳神経内科ですので、脳卒中(脳梗塞、脳出血)の方の治療は、数え切れないほど行ってきました。
脳卒中になり、身体が動かせなくなり、寝たきりになって、食事もとれず、経管栄養のため胃ろうを作って栄養剤を注入して余生を送っているという方を何人も見てきました。
「低タールのものに変えたので」と言われる方がいますが、残念ながら、低タール・低ニコチンのたばこを吸ったとしても健康への影響が小さくなるとはいえません。
低タールのものに変えても、無意識に深く吸い込んだり、吸う回数を多くしたりして、血液中のニコチン濃度を自分の脳にとって快適な濃度に自己調節するといわれます。
そのため、低タール・低ニコチンのたばこであっても、実際に吸い込むタールとニコチンの量は期待するほど低くならない可能性があります。
健康への影響を心配して低タールや低ニコチンのたばこに選んでも、身体への悪い影響が 「マイルド」「ライト」「スリム」 になるとはいいきれません。
タール値と肺がんの関係を検討した調査によると、タール値が8~14mgの普通の銘柄と0~7mgの低タール銘柄を比べると、低タール銘柄の方が肺がんリスクは高いという結果も出ているようです。
加熱式たばこは、たばこ葉やたばこ葉を加工したものを、燃焼させずに電気的に加熱し、エアロゾル(霧状)化したニコチンと加熱によって発生した化学物質を吸入するタイプのたばこ製品です。
喫煙者本人及び周囲への健康影響や臭いなどが紙巻たばこより少ないという期待から、使い始める人が多くいます。
紙巻きたばこに比べて有害成分が少ないと謳われていますが、発がん性物質をはじめ、多くの種類の有害成分が含まれています。
加熱式たばこを吸う人が吐き出した煙(正確にはエアロゾル)を吸わされることによって、受動喫煙は生じ、吸う人と吸わされる人ともに、どの程度健康影響があるかはまだ明らかではありません。
また、電子たばこは、リキッドとよばれる液体を加熱し、霧化させて吸うものです。
海外ではリキッドの中にニコチンが含まれていますが、日本の電子たばこは法律でニコチン入り電子たばこの販売が禁止されています。
しかし、リキッドの中にニコチンが入っていなくても、その他にホルムアルデヒドなどの有害物質が検出されたという研究結果があります。使用中の爆発事故も海外では数多く報告されています。
また、米国では肺疾患等の健康被害症例(死亡事例含む)が出ており、厚生労働省のホームページ上で注意喚起がなされています。
原因はまだ明らかになっていませんが、製品に添加されているビタミンEアセテートという物質が関与している可能性が考えられています。
たばこにはお金もかかります。
たばこをやめて、健康のため、趣味のためにお金を使ってみてはいかがでしょうか?
少しでも、考えていただける方がおられたら幸いです。