片頭痛の新しい治療について①
今年、内服薬などによる適切な治療が効かない慢性的な片頭痛の方を対象に、片頭痛の注射薬が使用できるようになりました。
今まで、片頭痛の病態は明確ではありませんでしたが、近年、頭蓋内の三叉神経終末からCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という物質が放出されることが、深く関連していることが分かってきました。
そのような現象が起きる場として、特に、三叉神経終末が密に分布する硬膜が重視されています。
今回の注射薬は、その硬膜周囲や三叉神経節において、CGRPに結合したり、CGRPが結合する受容体に結合したりすることにより、その活性を阻害する薬です。
現在、3社から発売されており、作用機序などは多少異なりますが、その効果に大きな違いはないようです。
効果を検証した試験では、1か月あたりの片頭痛の日数が、実薬では平均4.2-4.4日程度、プラセボ(偽薬)では1.4-2.3日程度減少し、以前より50%以上片頭痛の日数が減少した割合も実薬4-6割に対し、プラセボ1-3割との結果だったようです。
確かに効果はあるようですが、偽薬でもある程度の効果があり、その評価は人により異なるかもしれません。
ただ、今までの薬が十分効かずに、頭痛に悩まされていた方には、大変なメリットになるかもしれません。
発作時の痛みが軽減するという効果もあるようです。
(次回に続きます)