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認知症の患者さんのご家族の方へ

[2024.02.14]

ご家族が認知症になり、昔とは異なる様子となり慌てて当院を受診する方がおられます。
しかし、慌てる必要はありません。

認知症にはアルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型などがありますが、ほとんどの認知症は急激に進行することは少なく、ゆっくり進行します。

人間は皆、等しく歳をとっていきます。80歳、90歳と歳を重ねていくと、徐々に衰えていくのは自然なことです。
80歳以上の方全てに検査をすれば、認知症や軽度認知障害と言われる方はかなりの割合になると思います。

私の身内にも認知症の人が複数いました。一時期、薬を飲んでもらっていましたが、改善することはなく、それでも恐らく自分が認知症ということを認識することもなく、歳を重ねてから穏やかに旅立ちました。

かなり高度な状態になるまでは、最近のことはすぐ忘れても日々の生活は大きな問題はなく、ご家族との会話も可能な場合が多いです。
また、ある程度進行すると、ご本人は自分が認知症ということも分からなくなり、ご家族が心配するほど困っていないことが多いです。

最近、新しい認知症の新薬(レカネマブ)の話題もありますが、副作用や金額の問題もあり、まだ多くの方に使用できる段階ではありません。
ただ、一部の若年性認知症の方には試してみる価値はあるかもしれません。

テレビCMなどで「認知症は早期発見・早期治療を」などと言われているのを聞きますが、残念ながら加齢と同様に認知症は治せる病気ではありません。
むしろ、加齢や高齢者の認知症を治療できるとすれば、神の領域ではないかと思います。

ご家族の方は、そのような状況を客観的に認識するということが重要です。
具体的には、同じことを言っていても「さっき言ったじゃない」と言わず、怒らず、穏やかに何度でも回答し、上手く別の話題にするなどの対応をすることです。
本人は同じことを言っているという認識はありません。
注意されると「なぜ怒られるのか」と思い、興奮したり心を閉ざしたりしてしまいます。

そうは言っても、という方も多いでしょうが、かなり高齢であること、病気であることをご理解いただき、そのようなものだと受け入れていただく方が状況はよくなると思います。

薬での治療には限界があるため早期治療というより、早期から介護申請をしてデイサービスなどの介護サービスを利用し、人とコミュニケーションをとり身体を動かすことで認知症の進行を遅らせることができます。それが何より重要なことだと思います。

高度の認知症となり、ご家族での介護がどうしても困難となったら、介護区分の変更申請をして施設に入っていただくのも選択肢の一つだと思います。
「施設に入れるなんて可哀そう」と思う方もいるかもしれませんが、家族の生活もあり、本人も施設で若い職員と交流でき、安全に生活できるというようなメリットもあります。

繰り返しになりますが、認知症の方のご家族には、慌てずにご本人ができるだけ穏やかな日々を過ごせるよう、ご理解ご協力していただけたら幸いです。
上手くお話できるか分かりませんが、直接話を聞きたいという方はご予約の上ご来院いただけましたらできる範囲でご説明させていただきます。

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