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新型コロナウイルスに対する医療機関(当院)の現況について

[2022.07.20]

新型コロナウイルスが、全国で過去最多の感染者数となっています。
感染した方やそのご家族の立場から考えると、受診・検査できる医療機関がない、という不満もよく分かります。

ただ、感染者が1か月前の約10倍という状況で、国が示す新型コロナウイルスへの対応も以前と大きく変わりなければ、受診できないのは当然とも思います。

今年の5-6月は、ほぼ新型コロナウイルスは終息したと多くの人が考えていたと思います。その流れを受け、今でも政府は、屋外ではマスクを外しましょう、とCMを流しています。

ワクチンも必要ないと考える若い人が多く、以前にも書きましたが、多額の税金を投じて購入したワクチンが大量に廃棄されるという状況でした。
国や分科会の考え方にも疑問を抱いていましたが、当初、医療従事者への新型コロナワクチン4回目接種は行わないという方針で、最近、やっと方針転換されたものの現在も正式に開始されていません。

状況が一変したとたんに、病院に受診できない、とSNSなどで多くの声が上がり、ニュースで報道されることには、多くの医療従事者がやり切れない思いを抱いていることと思います。

新型コロナウイルス感染者が増加するたびに、あたかも病気のほとんどが、新型コロナウイルス感染症であるかのように報道されますが、病院では、その他の病気の診療をしている割合が圧倒的に多いです。
多くの病気があり、免疫力も低下した人が多く来院されているという状況で、感染した若い人たちが医療機関に殺到すれば、どうなるか想像できると思います。

また、感染症の方を診療するのは、非常に時間がかかります。
当院では、PPE(感染の個人防護具)を着用し、隔離した診察室や処置室で検査し、陽性ならまた説明して、保健所に報告しなければならない事項を聴取します。
そして、処方箋を交付し、近くの薬局に看護師や事務員が処方箋を持って行き、処方された薬を持ってまた医院に戻り、本人に渡すようにしており、会計も隔離した部屋で行います。
その後、診察した部屋や場所全体を、複数の職員で消毒し、換気します。

保健所への報告も、専用のHER-SYSというシステムを用いて行うのですが、必要な項目を入力するのに非常に時間がかかります。
それらを全て行うと、一人あたり30分以上が必要です。
現在、午前の診療時間の最後に感染疑いの方の診療を行っていますが、陽性の方が複数の場合は、診療時間を大幅に延長し、職員一同、昼食の時間を削って診療しています。
他の多くの病気の方も来院されている状況で、感染疑いの方の診療に充てられる時間は限られます。

以上のような状況では、医療機関は感染者の診療を制限せざるを得ない状況です。
多くの医療機関では、苦悩しながら、日々の診療を行っていることと思います。

国や分科会には、軽症や無症状の方、濃厚接触者への対応の指針を、早急に改善して示してほしいと、心から思います。

新たな経口抗ウイルス薬が使用できるようになれば、と期待していましたが、本日見送られました。非常に残念です。

皆様に少しでもご理解いただけたら幸いです。

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