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トリプタノール(アミトリプチリン:頭痛予防薬)が不足しています!

[2023.09.03]

トリプタノール(一般名:アミトリプチリン)という薬があります。
ほとんど知らないという方も多いと思いますが、古くからある三環系抗うつ薬で、うつ病でも使用されてきたのですが、頭痛領域では、頭痛予防に使用することが多い薬です。

片頭痛にも緊張型頭痛にも使用することができ、少し眠気が出るという副作用はあるのですが、この薬を飲み始めた多くの方に、頭痛が減りました、と感謝していただいています。
頭痛の予防薬は他にもあるのですが、この薬に代用できるものは現在のところありません。
年長の小児や思春期のお子さんにも比較的安全に使用でき、効果も髙いので、頭痛診療を行っている医師にはかかせない薬だと思います。

それが今、処方できなくなるかもしれないという、危機的な状況に陥っています。
理由は不明なのですが、製造元の会社から、出荷量が減少しているとのことです。
製造している日医工株式会社の今年5月のお知らせによると、
「2023年3月より限定出荷のご案内をさせて頂いております。弊社としては当該製剤を必要とする患者様への供給継続のため、製造委託先との協議を継続しておこなっておりますが、弊社からの出荷量減少に伴い、従来よりご採用頂いております医療機関様におきましても、ご要望にお応えできかねる状況にございます。甚だ勝手なお願いとなり誠に恐縮でございますが、他製剤への処方変更のご検討をお願い申し上げます。 以下略」
と記載されていました。

他製剤と言われても、同じ効果のある薬は存在せず、後発品は沢井製薬のアミトリプチリン塩酸塩錠のみで、それも限定出荷となっています。
当院では、隣の調剤薬局にお願いしてできるだけ仕入れていただくようにしており、現時点ではある程度処方できるのですが、処方箋を他の薬局に持って行った場合は、在庫がありません、という連絡が来ることが多いです。

いつまで処方できるか分かりませんが、継続できることを願うばかりです。
国も含めて、多くの製薬会社には、頭痛に悩んでいる方が非常に多いこと、他の薬では効かない方も多いことを理解していただき、少しでも供給を増やしていただきたいと思っています。

色々な事情はあると思いますが、製薬会社が追及すべきことは利益だけではなく、製薬会社で働く方々もそう思っている方が多いのではないかと信じています。
薬価はかなり低い薬ですが、他社でも赤字のでない程度に製造することはできないのか、国などは、もう少し薬価を上げることはできないのだろうか、と思います。

トリプタノールを飲んでいる皆様には、ご不便をおかけするかもしれず、大変申し訳ございません。
薬の供給に関わる方々、そうした立場の方に働きかけられる方々には、ぜひご理解ご協力をいただけないかと心から願っております。

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