コロナワクチンを接種した方がいいのでしょうか?2024
約2年前にも同様のタイトルでこの場に記事を書いていました。
その時と現在の状況は変わっており、今実際どうなのかということを分かる範囲で、私見も交えて書かせていただきます。
今年10月からコロナワクチンは定期接種として、① 65歳以上の方、② 60歳以上65歳未満で、心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方(厚生労働省ホームページより)を対象に行われています。
それ以外の方も自費で接種することは可能ですが、15000円以上の医療機関が多くやや高額となっています。
定期接種で対象となる方は、さいたま市では個人負担は3200円(市民税非課税世帯の方や生活保護世帯の方などは個人負担なし)と比較的考えやすい金額になっていると思われます。
では、実際にコロナワクチンを接種した方がよいかですが、現時点での個人的な意見としては、定期接種の対象となる方や、特にその中でも基礎疾患(持病)のある方や75歳以上の方などは接種した方がよいと思います。
厚生労働省の人口動態統計によると、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類となった2023年5月~2024年4月の1年間で死亡者数が計3万2576人で、約97%が65歳以上とのことです。特に、年齢が高くなるほど重症化率、致死率も高くなることが分かっています。
同時期のインフルエンザの死者数は2244人であり、新型コロナウイルスの死亡者数は約15倍と格段に多いことになります。
最近インフルエンザの予防接種を希望される方は増えていますが、コロナワクチンを希望する方は比較的少なく、もっと多くてもよいのではと思っております。
新型コロナウイルスにより直接亡くなる方は当初より少なくなっており、若い方のほとんどは風邪のように自然に回復しますが、一方で、高齢者や持病のある方は、誤嚥性肺炎や細菌性肺炎を併発したり、腎不全、心不全などが悪化したり、敗血症や多臓器不全を起こして亡くなることがあります。そのため、そのような方は積極的にワクチンを接種した方がよいと考えられます。
最近、新しいレプリコンワクチンに対する賛否があり、mRNAワクチンに対する不安もあると思いますが、少なくともすでに世界中で多く使用されているワクチンは比較的安全に使用できると思います。なお、当院ではファイザー社のコロナワクチンを使用しています。
コロナワクチン接種により、発熱や倦怠感などの副反応が生じることもありますが、高齢者は若い方より軽いことが多いです。特に、以前接種してほとんど副反応がなかったという方は積極的にワクチン接種を考慮していただくとよいと思います。
一方、重篤な副反応の割合は低いですがないわけではないので、重症化する可能性が低い若くて持病のない方には、現在のところあまりお勧めしなくてよいと考えています。
さいたま市では、今回の新型コロナワクチン定期接種の接種期間は令和7年1月31日までです。
現時点では比較的コロナウイルスの感染者数は少ないため慌てる必要はないですが、ご高齢の方や基礎疾患のある方はワクチン接種を考えていただいた方がよいと思います。