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マスク着用についての考え方

[2023.02.27]

新型コロナウイルス対策としてのマスクの着用について、政府は3月13日から屋内・屋外を問わず個人の判断に委ねる方針を決定しました。
また、医療機関を受診する際や通勤ラッシュ時といった混雑した電車やバスに乗る際などには、マスクの着用を推奨するなどとしています。

マスクを外すことについては、以前から議論されていましたが、なかなか難しい問題だと思います。
表情が見えないので子どもの教育によくないとか、コミュニケーションがとりづらいなどについては、確かにそうかもしれないとは思います。息苦しい、不快というのも分かります。

ただ、医療従事者の立場では、マスク着用は継続した方がよいという意見が大半だと思います。
近年のマスクの感染予防効果についての海外での研究では、マスク着用による感染予防効果があったとするものと否定的なものがありますが、研究の方法や条件などが異なるので、いずれも絶対的なものとは言えません。

しかし、感染症を予防するには、ウイルスや細菌などの感染源に接触しないということは、大原則だと思います。
新型コロナウイルスが流行するずっと以前から、医療従事者は、感染症が疑われる人を診察したり処置したりする際にはマスクやガウンなどを着用してきました。
少なくとも、致死的になる可能性がある感染症が完全に終息していない状況で、人と空間的にでも接触する場合に、マスクをすることの意義は否定できないと思います。

コロナウイルス感染者数が減少してきたから、世界的にはみんなマスクを外しているから、などといった理由で、医療機関・高齢者施設や満員電車など以外の場面では外してよいと言われても、納得しづらいです。

医師としての意見を聞かれたら、ご心配ならできるだけマスクはつけて下さい、と答えるでしょう。
マスクの性能などによる違いはあると思いますが、近くに赤い顔をして頻回に咳をしている人がいるような場合には、布マスクでもハンカチで口を覆うことでも、感染予防効果はあると考えるのが今までの医学の常識だと思います。

個人の判断にゆだねる方針ということですが、以前から色々と自治体などあちこちにゆだねることが多くないでしょうか。
また、マスクは3月からなのに、5類へ移行するのは5月?と思います。
その時期の違いにどのような意味があるのでしょうか。
方針を決めたら、できるだけ早期に実施していただかないと、色々な場面で多くの人が困ります。

以前は、マスク着用を呼びかけ、いわゆるアベノマスクも配布し、マスクを拒否する乗客が一人いたら飛行機も飛ばないという状況だったのに、今後はしたくない人はしなくてもよいということには違和感を禁じ得ません。
おおむね全員の着席が可能な新幹線や航空機、船、タクシーそれに高速バスなどではマスクを外すことを容認するとのですが、狭い高速バスなどで新型コロナウイルスに感染した人がマスクを着けずにたびたび咳をしているような状況ではどうでしょう。
個人の判断でよいということなら、バス会社や航空会社などの乗務員も、そのような人を注意することもできません。
新型コロナウイルスはエアロゾル感染するということは以前から言われており、今も国立感染症研究所のホームページにも書かれています。
政府の偉い方々は、実際に高速バスに乗ったことがあるのだろうか、と疑問に思います。

色々な意見があるのは当然ですし、マスクを外したいというのも理解できます。
やや強めな表現があったかもしれず、不快に感じた方には申し訳ございません。
ただ、できるだけ多くの方に今後も感染対策は十分に行っていただき、マスクも含めて周囲に配慮していただける社会になってほしいと願うばかりです。

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