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パーキンソン病の新しい治療~経腸療法とは

[2023.02.13]

本日、MDSJ(日本パーキンソン病・運動障害疾患学会)教育研修会がありました。
愛媛で開催されていましたが、WEB視聴可能だったため、自宅で見ることができました。
すでに知っている内容も多かったのですが、改めて確認できたり、気づいたりすることもありました。

その研修会でも説明がありましたが、今までこのブログで紹介していなかったパーキンソン病の治療の一つに、経腸療法というものがあります。
経腸療法とは、カセットに入ったL-ドパ製剤を、専用ポンプとチューブを使って薬剤の吸収部位である小腸に直接持続的に送り届ける治療法です。

治療を検討するタイミングは、病気の進行とともに、従来の治療薬(飲み薬や貼り薬)では十分な効果が発揮できず、ウェアリングオフ(レボドバを飲んで2〜3時間経つと薬の効果が切れて症状が戻ってくる現象)やジスキネジア(レボドバが効いている時間帯に手足が勝手に動く症状)などがあらわれ、日常生活に支障を来してきた時です。

薬剤の主成分はL-ドパ製剤で、経口のパーキンソン病治療薬として広く使われているものです。
専用ポンプとチューブを用いて、小腸に直接かつ切れ目なく薬剤を投与します。そのため、安定した吸収が可能となり、L-ドパの血中濃度を一定に維持します。

経腸療法のメリットとは、
① 新たな投与システムで、専用ポンプとチューブを用いて、小腸に直接かつ切れ目なく薬剤を投与します。そのため、安定した吸収が可能となり、L-ドパの血中濃度を一定に維持することができます。

② 胃ろうを造る前に鼻からお薬を投与することによって、事前にお薬の効果や安全性を確認できます。

具体的な方法としては、
1.飲み薬を切り替える
使用中のパーキンソン病治療薬を中止し、使用する薬と同じ成分の飲み薬を飲んで、自分に合った薬の適量を確認します。

2.鼻のチューブから薬を投与する
入院の上、薬の適量を確認後、チューブを鼻から入れ小腸まで延ばして固定します。
チューブとポンプを使ってお薬を投与し、実際に小腸から吸収した場合の適量と安全性を確認します。

3.胃ろうを造る処置を行う
胃ろうから小腸まで延ばしたチューブ(PEG-Jチューブ)とポンプを用いて、治療を開始します。

4.退院後、定期的に医療機関で診察を受けたり、自宅で訪問看護師による支援を受けたりしながら、治療を続ける

ポンプは、日中つけたままにして就寝前にはずします。投与は、起きている時間(最大16時間)です。

経腸療法は、胃ろうを造設することが条件となるため、限られた病院で実施されており、手術が必要となること、それに伴うリスクは理解しておかなければなりません。
また、機器を用いて薬剤を投与しますので、操作方法等を習得する必要があります。

そのような条件はありますが、条件をクリアできる方には、かなりの効果がある治療と考えられます。
ご理解いただける患者様、ご家族の方は、インターネットでも色々調べた上で、ご検討いただくとよいと思います。

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